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アイヌ文化のふるさと「二風谷(にぶたに)コタン」その1


沙流(さる)川流域の平取(びらとり)町二風谷(にぶたに)は
アイヌの伝統が色濃く残る地域として古くから知られている

先日この「伝統文化を伝える集落」を訪れた
二風谷コタン2(1)

二風谷コタン1(1)
   (平取町観光協会・平取町役場発行パンフより)


その前に

この二風谷コタンは 二風谷(にぶたに)ダムに隣接している
このダムは沙流川の治水と日高地域への利水を目的に1997(平成9)年に完成した特定多目的ダム

建設に際し水没予定地は チプサンケと呼ばれるサケ捕獲のための舟下ろし儀式を始めとしてアイヌ文化が伝承される重要な土地であったため この地に住むアイヌ民族との軋轢が「二風谷建設差し止め訴訟」にまで発展し アイヌ民族の先住性を問う契機になったダム事業として知られている

訴訟を起こしたのは
参議院議員として国政に参与した故萱野(かやの)茂と故貝澤正 

萱野(かやの)茂 
元平取町議会議員 元参議院議員 二風谷アイヌ資料館創設
元世界先住民族サミット2008実行委員会最高責任者 
アイヌ文化研究社(博士) 
(金田一京助の影響を受けアイヌ語記録に着手 このころ知里真志保とも出会う)

貝澤正 
元平取町議会議員 元北海道ウタリ協会副理事長 

両氏はアイヌ文化を守るためダム建設に反対し
所有する土地の補償交渉に一切応じず 補償金の受け取りも拒否した

このため北海道開発局は法に基づき強制収用に踏み切った

これを不服とした両氏は「収用差し止め」を求めたが棄却
請求棄却に反発した両氏は札幌地裁に行政訴訟を起こした 
これが「二風谷建設差し止め訴訟」
 
この訴訟の真の目的は
アイヌ民族の現状を広く一般に認知させ アイヌ文化を国が保護・育成させることだった

1997(平成9)年ダムの建設が完了した後 札幌地裁は原告側の訴えを棄却した
しかし「土地取得に関し アイヌ民族の文化保護などを置き去りにして収用を行ったことは 法を逸脱している」として収用は「違法」と判断 
その上で既になされた収用裁決を取り消すことは「公益に著しい障害を生じる」として判決には違法は明記するものの 原告の請求を棄却した

この訴訟を契機として アイヌ民族を国の機関として初めて先住民族として認め
同7月に悪名高かった「北海道旧土人保護法」が廃止され 「アイヌ文化振興法」が成立した

また国は
1991(平成3)年に建てた二風谷アイヌ文化博物館を国庫補助でアイヌ文化・アイヌ語伝承や文化財保護の拠点として拡充させ チプサンケの代替地を8月に完成させた

1998(平成10)年には沙流川博物館が開館し 現在は二風谷アイヌ文化博物館とともにアイヌ文化の保護拠点となった

ダム建設が契機となり アイヌ民族の悲願が成就したが 萱野・貝澤をはじめとしたアイヌ関係者の血のにじむような苦労が この二風谷コタンに潜んでいる
(参考 ウィキペディア)

二風谷コタン

二風谷コタン3(1)

チセではアイヌ工芸の実演が行われていた

二風谷コタン4(1)
(チセとアイヌ文様の刺繍)

囲炉裏の上では保存食用とするためトウモロコシとウバユリの根(球根)が吊り下げられていた

二風谷コタン5-1(1)

ウバユリの根(球根)の保存食製造方法
球根を薄く剥がして搗(つ)き 発酵させて良質の澱粉をとる
これを一回茹でて ひもを通し乾燥させる

また工芸のチセでは刀の鞘や盆作りの実演が行われていた

二風谷コタン6(1)

コタンにはアイヌの生活の様子が分かるようなものが数々ある

写真下左は
アイヌ語で「プ」と呼ばれる高床式の倉
おもにヒエやアワなどの穀物の保存・貯蔵のために用いられ 足を長くした床は丸太を並べて通気性を良くするため
ネズミの侵入を防ぐために倉を登るハシゴは使うときにだけ立てかけ 柱に板や木の皮などでネズミ返しをつけることもあるようだ

穀物はトッタといわれる大きなかます(袋)に入れて「プ」の中に貯蔵し穀物の他に春から夏にかけて収穫した山菜類も乾燥させたあと冬のための保存食として蓄えていた
チセのまわりには倉だけでなく 祭壇 仔グマのオリ 便所などがおかれた

二風谷コタン7(1)
写真上右は「ペペレセッ」(仔グマのオリ)

アイヌの伝統的生業カレンダーでは 早春3月ごろ穴で冬眠しているクマをとる
仔グマは村に連れられ1年~2年ほど神の国から来たお客として養われる
仔グマは家の中で2ヶ月ほど暮らした後「ペペレセッ」に移され大切に育てられ 1歳から2歳になったころ神の国へ送り返すため 「イヨマンテ(クマ送りの祭事)」が村をあげて盛大に行われる
 
二風谷コタン内には
1992(平成5)年に平取町の博物館として開館した
「二風谷アイヌ文化博物館」がある

アイヌ文化博物館1(1)
(二風谷アイヌ文化博物館)

この博物館は次回に紹介する


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プロフィール

KEARASHI

Author:KEARASHI
2013年10月リタイアをきっかけに、木彫・木工クラフト工房を開設しました。
木に新しい命を吹き込むという思いを込め、「萌樹工房」(もえぎこうぼう)と名付けています。
ブログでは、工房の様子や他の趣味等を載せていきます。

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